債務は相続財産なのか?

アパートローンつきの不動産について記載した遺言があったとします。
①どこどこの不動産はAに相続させる。
②その他の相続財産についてはBに相続させる。
借金についての記載なし。

こういう遺言を書いた場合に、アパートローンの債務はどうなるでしょうか?

本日は、遺言(遺産分割協議)における債務の取り扱いについてご説明したいと思います。
結論からいうと、「債務は相続財産ではありません。」したがって「遺言、遺産分割の対象にもなりません。」債務は、遺産分割と同時に、相続分に応じて相続人に相続されるものと解されています。

※ご参考【判例】(東京高決昭37.4.13家月14・11・115遺産分割の事例に対し、対象となるものは被相続人(死んだ人)の有していた積極財産だけであり、消極財産(金銭債務)は相続開始と同時に共同相続人にその相続分に応じて当然分割承継されるものであり、遺産分割によって分配させられるものではない。→この考え方は、遺言の場合にも当てはまります。

先ほどの回答は
「①不動産はA、②その他の財産はB、③債務は相続人が法定相続分に応じて負担」これが正解です。

ただし、遺言書や協議書で、債務についての記載はとても良くみかけます。これは相続人当事者の間で誰が負担するかについて協議した中で有効であり、対債権者においては、対抗できないとされているのです。(債権者から請求された時に、遺言や遺産分割の内容を示して、払う義務はない!と主張はできません。)

遺言について言えば、一種の負担付き遺言(親の面倒をみる代わりに不動産をあげる)ととらえることもできます。
「遺言者は、負担している債務を、Aが負担して払うこととし、Bには負担させないこととする。」債権者も、このような遺言があり、その内容が第三者からみても合理的であれば、事実上尊重されることになると解されます。

税務上は、相続財産でないものも相続財産として計上したりしますから、注意が必要です。

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