遺言書の表現と登記の原因

遺言では「ご自身の財産を〇〇にあげる」という内容を書きますよね。
通常、〇〇が相続人であれば「相続させる」、他人であれば「遺贈する」と書くことが多いです。

登記の原因では「年月日相続」「年月日遺贈」となりますが、相続なのか遺贈なのかによって申請書の書き方が大きく違うのです。
相続の登記は、もらう人のみが申請人となる単独申請で・す。一方遺贈は、もらう人とあげる人(亡くなっているのでその相続人もしくは遺言執行者)の両方を申請人として申請します。

もらう人とあげる人がいる場合はそれぞれを権利者、義務者と呼び、義務者が添付する書類として、権利証や印鑑証明をつけます。単独申請であれば、義務者がいませんから、それらは必要ありません。

ですから、表現の違いは登記申請をする時に結構重要な論点になるんです。

原則は、遺言書の文言の通りになります。
その例外は、⑨相続人でない人への相続はありえない(遺贈である)  ⑤相続人に財産全部を包括遺贈する場合は相続である。ということです。以下をご覧ください。

遺言書の記載、登記原因の順に
①相続人と相続人でないものに包括遺贈・「遺贈」・昭和58・3・2民三1310
②相続人の全員に対して格別に、遺贈する・「遺贈」・昭和58・10・17民三5987
③受遺者(相続人の一人)に、遺贈する・「遺贈」・昭和48・12・11民三8859
④相続人中の一部の者に、包括遺贈する・「遺贈」・昭和38・11・20民甲3119
⑤相続人全員に、財産全部を包括遺贈する・「相続」・昭和38・11・20民甲3119
⑥相続人以外の者に、全部を遺贈する・「遺贈」・昭和29・5・6民甲968
⑦相続人が2人の場合に、長男に甲不動産、次男に乙不動産を相続させる・「相続」・昭和47・4・17民甲1442
⑧相続人が2人の場合に、長男に遺産の全部を相続させる・「相続」・昭和47・4・17民甲1442
⓽被相続人の子が遺言書の作成時及び相続開始時に生存している場合に、孫に相続させる・「遺贈」・登記研究480・131

ちなみに、【包括遺贈】とは、
*特定の者に財産全部をあげる  *特定の者に財産全体の4分の1をあげる
など、全部の財産をまるっと財産とみなした考え方です。

それに対して【特定遺贈】は、
財産のうち、具体的に〇〇を誰にあげる。など、ものを特定する考え方です。

何気なく使う表現かもしれませんし、両方「あげる」を表す言葉ですが、結構重要です。
注意してみてくださいね。

いいお天気でしたが、ビルにこもって相談会でした。帰りがまた満員電車なんですよね。。会場近くのテイクアウトのファンになり、帰りのお買い物が楽しみです。帰宅して素敵なお皿に移す元気もない。
かめちゃんのお目目に癒される。

皆さんもお疲れ様でした。



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