共有物分割の現物分割

ある土地があります。
所有者は、「持分2分の1 A、持分2分の1 B」

それぞれが別家族として生活している兄弟で共有という場合は、不都合なことが多いです。

なんとか共有を解消したい。

そんな時に、いくつか方法があります。
・売却して現金を分ける も分割ですし、
・他の不動産と交換して分ける も分割方法です。

今回は、分割方法の一つである現物分割についてお話します。

共有の土地を物理的に2つに分けてそれぞれを一人が所有する。
その名の通り、その物を半分ずつ分けましょう。という分け方です。

土地の場合、一つの土地を二つの土地に分ける必要があります。
これを分筆といいます。
土地家屋調査士の先生にお願いして測量の上登記をします。

そして、出来上がった二つの土地(①②)も最初は、二つともABの共有です。
そこで、
①の土地のBの持ち分2分の1をAに移転し
②の土地のAの持ち分2分の1をBに移転する、所有権移転の登記を入れることによって

①はA単独名義
②はB単独名義

となるわけです。

さて、不動産の所有権が移転すると、それに伴って税金がかかりますよね。
共有物分割をした場合、諸経費はどうなるでしょうか。

【譲渡所得税】
現物分割をした場合で、分けた後の①②の土地の価格がおおむね当初のABの持ち分の割合と同じであった場合、譲渡所得税はかかりません。(所得税基本通達(所基通)33-1の7)

先ほどの例でいえば、持ち分は半分ずつであった訳ですから、土地もほぼ半分に分けられた場合です。

これが①と②随分極端に広さが違う形で分筆された場合は、持分の割合に比例したとみなされない部分に関しては贈与税の課税対象になります。

所有権の移転であっても、その資産の全体に及んでいた共有持分権が、その資産の一部(現物分割で取得した部分)に集約されただけにすぎないと考えられているためです。

【登録免許税】
通常、不動産の所有権が移転する場合は、評価額に1000分の20をかけた金額になります。
共有物分割の場合、
・先ほどの持分の割合に比例したとみなされる部分については1000分の4(条件あり)
・上記とみなされない部分については1000分の20かかります。

【不動産取得税】
移転であっても形式的な移転であれば、取得税はかかりません。
先ほどより何度もでてきた「持分の割合に比例したとみなされる部分」については非課税となります。(地法73条の7)


この「持分の割合に比例したとみなされる部分」が少し分かりにくいと思います。
最初に共有していたABの持ち分の割合通りにその土地を分けるのが原則。
A3分の1、B3分の2であれば、①3分の1 ②3分の2です。

こうすれば、共有物分割で所有権が移転する場合
「①(全体の3分の1)のB持ち分3分の2」と「②(全体の3分の2)のA持ち分3分の1」が移転します。

①は全体の3分の1ですから、移転する持ち分は全体の9分の2ですよね。
①は3分の1×3分の2 ②は3分の2×3分の1

最初の共有の割合通りに土地を分ければ、共有物分割をする時に移転する土地の持ち分はほぼ等価になるはずなんです。

ですので、Aが失った土地持ち分とAが取得した土地持ち分の価値はほぼ同額になるはずで、同額からはみ出た場合は、通常の課税がされるとお考え下さい。

右に2人。もう一人はアーチの向こう。ワンちゃん飼いたいなぁ
休みが欲しいなー



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