不在者財産管理人と遺産分割

ちょっと、ハードな相続案件に頭を悩ませております。
どうしても、相続を叶えないと困りますので、大きな山を乗り越えるつもりでやっています。

【いきなり、事例】
父、亡くなる。相続人は母と私と弟。弟は10年前に家を飛び出して以来、消息が分かりません。
この場合の相続手続きとは?

①不在者財産管理人選任審判申立て
②不在者財産管理人の権限外行為許可審判の申立て
③不在者財産管理人による遺産分割協議

先ほどの例のように、住所や居所を去って所在不明となった者がいた場合には、不在者財産管理人選任の申立てをします。
【不在者財産管理人の権限】「保存行為」及び「目的たる権利の性質を変えない範囲での利用または改良を目的とする行為」に限られます。(民法28・103)

これ以外の行為については権限外の行為として、裁判所の許可が必要になります。
【権限外の行為】①不動産の売買・交換 ②抵当権の設定 ③賃借権の設定・更新 ④遺産分割協議 ⑤訴訟行為(ただし応訴については保存行為として裁判所の許可は不要)⑥相続放棄 ⑦扶養料の支払い など

つまり、不在者財産管理人が遺産分割協議をするには、権限外の行為として許可を得る必要があります。

【③相続人と不在者財産管理人との遺産分割協議】
不在者→不在者財産管理人 「相続人甲野次郎不在者財産管理人丙山和夫」と署名+実印+丙山さんの印鑑証明
通常の協議の場合に加え、
・裁判所の不在者財産管理人選任審判書と ・裁判所の権限外行為の許可書 を付けて手続きすることになります。

裁判所への申立てに必要な資料として
*不在の事実を証する資料
*不在者の財産に関する資料
*申立人の利害関係を証する資料

後見人が遺産分割協議をするのと同様に、不在者財産管理人が参加する遺産分割協議も、法定相続を下回る協議は原則できません。

また、居所不明な場合に、失踪宣告を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、これは、「死亡擬制」となります。よっぽど死んだに違いない場合は別として、ただ場所が分からない場合は気軽には申し立てできません。殺しちゃうことになりますから!

火曜日はお花の日。公証役場行ってたら、出遅れました。大人気!




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