戦時中のお話(真正な登記名義の回復)

時系列で記載した方が分かりやすいので、まずはそれを記載します。

Aさん。長女Bさん。長男Cさん。Aさんは戦争で亡くなります。その時Cさんは2歳くらいです。(泣)

S.20.3.5   戦死(戸籍に記載)
S.22.2.25  売買(登記記録に記載。権利証あり。)
           X→Aさん
S.22.5.2まで家督相続の制度※
S.22.10.21 戦死した旨のお知らせ
※家督相続は昔の相続の仕方で、長男のみに引き継がれます。

Aさんの相続登記を入れたかったのですが、今現在の登記記録は明らかに間違っています。
死んだ人が不動産を買ったことになっている。
しかも、一見何の問題もない権利証があります。本人確認はどうなってるの?というのは置いといて、、
こういう登記は良くあるのだそうです。(法務局談)

なぜなら、戦死した後しばらくしてからその知らせが届いたため。
売買時点では、死んだことを知らなかった。しかも、長男は2歳で、2歳の子名義にもできません。

これは、明らかに、間違っている!
したがって、まず抹消登記をいれるべきとされています。

しかし抹消登記は、当時の売主と買主が双方協力して行うものですので、昔の場合はその相続人。
当時の売り主の相続人を探し、連れてきて登記に協力してもらうというのは、あまりにも現実的ではありません。


その場合に、誤った無権利者→正しい権利者へ、現実の実態と合わせる登記である「真正な登記名義の回復」を原因とした移転登記をすることができます。(略して「しんめいかいふく」)

X→A(無権利者)  X→A間を抹消できない場合に  A→Cへ移転登記を入れて正しい所有者名義にする。
これが真正な登記名義の回復です。

Xさんは死んでますので、Xの相続人全員B,C→Cへの移転登記をすることになります。


当時の売り主を突き止めて登記する労力に比べれば、この「真正な登記名義の回復」は神のような手段といえます。
実体とあってないものを実体に合わせる力業ですが、実体とあっていた方がみんなの利益なのです。


ここまでは良かったのですが、今回はBさんは完全なる認知症でした。。
家督相続の時代ですので、Aさんの権利義務はCさんのみに引き継がれるとしてもらえないかと思いましたが、ダメでした。

Aさんが権利をきちんと取得した後に家督相続が発生したのであれば、その権利義務は全部家督相続でCさんのみに引き継がれると思って間違いありません。

ところが、今回は「家督相続が発生した後に、幽霊が財産を取得している」ため、幽霊の権利は家督相続では引き継げません。

惜しかったです。
この場合、・Bさんに後見人をたてる  か  ・Bさんがなくなるのを待つ

しかありません。後見つけると言っても、そんな簡単ではないです。登記の問題だけにとどまらないので、登記問題解決のための後見にはいささか疑問があります。

なかなか、うまくいきません。
もう少し早ければ何とかなったでしょう。やはり相続登記は早いにこしたことはないなぁと思います。


権利証カバーを新しくしました。写真だとわかりずらいですが、紙質よし。こんな淡いピンクが好きで、小物はこんな色ばかりです。気に入ったものにできて嬉しいです。ですが、以前の在庫が恐ろしいほどにあります。。何万円分かありますーどうしよ。欲しい方、いますか?


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