判決による登記

不動産登記は原則、登記権利者(権利を得る人)と登記義務者(権利を失う人)による共同申請です。ところが、義務者が登記申請に協力しない場合、裁判の判決により、売主の意思を擬制することが認められています。

裁判の判決主文はこんな感じです。(あくまでイメージ)
「被告Aは原告Bに対し、別紙目録記載の不 動産につき年月日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ」
この判決が確定した時は、債務者はその確定の時に意思表示をしたものとみなされます。これを意思表示の擬制と言います。(民事執行法第177条1項)

この判決による登記は、そもそも売主が登記に非協力なので、判決書の正本をつけることで買主による単独申請が可能です。

(単独申請だと、義務者が居ない訳ですから、義務者の提出する識別情報や印鑑証明書も必要ないです。)


また、遺産分割協議でもめた場合、離婚に際して財産の処分でもめた場合等、裁判の結果をもって登記を進めることもございます。

離婚や相続など家族に関する裁判は家庭裁判所で行われますので、代理人は弁護士の先生のご専門です。(不動産に関しては訴額によっては司法書士も代理人になれます。)

たまたま、お話した弁護士の先生がそうだったのかもしれませんが、これらの裁判は結構多いみたいです。(家族関係でいえば、遺留分の請求もよくやるとおっしゃっていました。)

私も過去、もめているケースは良くありましたが、ただ財産が欲しいからというのではなく、そこには家族間の複雑な事情があるのですよね。そのご家族ごとに、違ったストーリーがあるので、お話を伺うことは人生勉強になります。というか、色々あるのだなぁと、それぞれの方に想いを馳せたりします。

代理人の立場としては、それはNGなのでしょうが、やはり、実務を通して色んなケースに触れることで、仕事の幅が深まる気がします。

話がそれましたが、裁判に絡んだ登記手続きのお話でした。
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