民法の目的

突然ですが、民法にはどうして、罰則が規定されていないのでしょうか。
例えば、刑法や道路交通法が分かりやすいと思いますが、これらは「守らない人を罰する法律」です。

法律にはそれぞれ目的があります。
先に述べた刑法や道路交通法の最終的な目的は正義や秩序、安全を守ることです。
それゆえ、自分達でルールを定め、守らない人を法律で罰します。

では、民法の目指す目的とは何でしょう。
民法は国民のための法律ですが、できた当時の理想の市民とは、あれをしてはいけない、こうしなければいけないと言われて行動する人びとではありませんでした。自己決定、自己責任ができる自立した市民こそが理想とされました。
民法の目的は「意思による自治」を実現することです。

だから、民法は全面に出るのではなく、市民を支える法律なのです。

民法には「契約自由の原則」「私的自治の原則」という原則がありますが、基本的には当事者同士の意思決定が尊重されるということです。
その当事者が決めた契約を法律が拘束力を認める(承認する)ことになります。

ただし、この意思決定において、民法は充分に判断能力がない人々など、保護しておく必要がある人のことを考えました。
それが未成年者であったり、だまされたり、脅迫されたりして行われた契約です。

民法はそれらのケースにおいて保護すれば十分です。取消や無効の規定を定め、刑法や道路交通法のような罰則を定めるまではしませんでした。

取消は取り消さなければ有効であって、取消を求めるか求めないかは自由です。民法ではそこまで、自由意志を尊重しています。

誰にとっても、一番身近な法律であるはずの民法です。
実はすごく私達の日常に関わっています。
何でもそうですが、「目的」を意識すると、色んな事が理解しやすいですね。

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