特別受益の持ち戻しと免除

法務局にオンラインから謄本を請求したところ、間違って届きました。再発行をお願いしたところ、わざわざスタッフの方が、業務終了後届けてくださいました。なんて親切。ありがとうございます。うちは、法務局まで、すごく遠い訳ではないのですが、日々、関わる職場なので、それにしては若干面倒な距離にあります。坂、ありますし。。。オンラインが発達する前だったら1人事務所は厳しかったでしょう。

色づき始めた紫式部がきれいです。好きなお花の一つです。

さて、相続の話をしていると、良く聞かれることがあります。ご兄弟のうち、1人には昔沢山お金を使うことがあったから、そうでない方に相続させるということです。生前多くもらった分が特別受益として認められれば、それを相続財産に足し戻して(贈与が無かったとした時の相続財産で計算)1人分の持分を計算し、多くもらった人はそこからもらった分の財産をひいたあまりを相続の際もらうという計算になります。

ただし、過去にもらったお金がなんでもかんでもこれと認められる訳ではないのです。相続人に対する贈与であれば
「婚姻、もしくは養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた」という規定があります。(民法903条)

「生計をたてていく上での資本」というのは、マイホーム資金、結婚祝い、開業資金など。ただし挙式費用は二人の為ではありますが、同時に親や親族も関係するので特別受益には含まれません。

また、
・遺言者が持ち戻し免除の意思表示をした場合
・婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である遺言者が配偶者に対してその居住用にする土地建物の遺贈または贈与をした場合は持ち戻し免除の意思表示とみなす
上記の場合も、特別受益には含まれません。



話は少し変わりますが、この度の改正で遺留分の算定のもととなる財産に算入する贈与の期間についても定められました。
贈与は相続開始前1年間にしたもの。相続人に対する贈与については10年間にしたもの。を算入します。

つまり30年前に何かしてあげたというのはほとんど対象外になります。

実際相続が発生して「〇〇だと思ってた、〇〇のつもりだった」ということが適用にならない、というお話もございます。
贈与が、特別受益として認められるのかどうか、また遺留分算定の基準額に加算されるのかどうか、条件に当てはまっているかご検討ください。

コメントを残す