相続放棄についてのあれこれ

相続放棄という言葉がありますが、特定の財産を引き継がないという意味で使うのは法律的には間違いです。

相続放棄というのは家庭裁判所に相続放棄申述書を提出して認められた場合に使います。特定の財産を引き継がないという意味ではなく、「初めから相続人ではない」ことを意味します。

ですから、特定の財産は引き継がないけど、他の財産は引き継ぐということは本当の意味での相続放棄ではありません。

良く、債務が大きい相続が発生した場合に、相続人の1人が主導して、他の相続人みんなを放棄させ、自分が破産するという方法をとることがあります。
その場合、他の相続人は言われるがまま、軽い気持ちで相続放棄の申述書にサインをしてしまうことのないようにしてください。相続放棄はあくまで、ご本人の意思表示で行うものです。事実関係を良く確認してください。


ポイント
①もし、相続人が意思能力がない場合は、後見人や特別代理人が代理して行いますが、本人の利益になることが前提なので、失う権利が大きい場合はすることができません。

②さて、この相続放棄の申述が受理された場合、その人は相続人ではない訳ですが、この事実は戸籍に記載される訳でも、どこかに公示される訳でもありません。相続放棄申述受理証明書をつけて手続きをします。

相続放棄が受理されると、申述人に相続放棄申述受理通知書が届きます。これと証明書は別物で、証明書は再度本人か利害関係人が請求することになります。

また、放棄した可能性はあるけど不明な場合、裁判所に照会することもできます。

③当然ですが、ある相続人が相続するのか放棄をするのか、他の相続人の相続にも影響してきますので、するならなるべく早くして欲しいですよね。
そういう意味で、3ケ月以内にする決まりがあります。(民法915条)

ですが、その3ケ月は自分が相続人であることを知った時です。亡くなってから3ケ月経過していても、その事実と自分が相続人だと知らなければ、知ってから3ケ月以内で大丈夫です。
その場合、申述書にその旨を記載して申請します。

たまに、疎遠になった被相続人とその家族から、お手紙が送られてきて、初めて知ったということもあります。

余談ですが、先週からお話していた法務局による遺言の保管制度では、亡くなった届が行政に出されると相続人へ通知がいきますので、随分長いこと知らなかったという事態が防げますね。早く相続手続きした方が権利関係が明らかになりますので、そういう意味ではいい制度だと思います!

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