合意解除による所有権抹消登記



今朝、決済の前に直前の謄本を取ろうとしたら、登記情報のサイトが、速度制限かかったような状態で、いつもは瞬時にとれるものが取れません。しまいには、業者さんと一緒に協力してそれぞれのPCでなんとか半分ずつ取得しました。
自分のWiFiがおかしいのか、そのサイトにアクセスが集中したのか、良く原因が分からなかったのですが、後でやはりサイトにトラブルがあったことが分かりました。

同じタイミングでお客様からも今朝謄本が取れなかったというお問い合わせが入り、プチパニックでしたが、それは私たちだけで、世の中は何事もなかったように穏やかに過ぎていきました。

さて、本日売買をした対象の不動産の謄本です。
ホワイトデーにちなみ(笑)オレンジのハートさんは赤いハートさんに平成19年に売却しました。
その後何が起こったでしょう。一番下の5番をご覧ください。
平成20年7月22日に「合意解除」を原因として、「4番所有権抹消」登記が入っています。
要するに事後的な事柄により、オレンジ→赤への移転がなかったことになった訳です。

当然ながら本日の不動産売買の売り主さんはオレンジです。
                                                                                 
これと比較したいのが、所有権移転の登記と同時に「買戻特約」の登記を一緒に入れていた場合で、買戻権を行使することがあります。オレンジ→赤へ移転したけど、特約で「赤がオレンジに〇〇しなかったらオレンジは一方的に所有権を取り戻すことができる」と約束して、買い戻す旨の特約の登記を入れておきます。

ここで、赤が約束を守らなかったら、買戻権の行使により、赤→オレンジに所有権が移転します。
この場合の登記は「年月日買戻」を原因とする「所有権移転」登記です。

両者は、大体やってることは同じです。オレンジ→赤に移転した後に、事後的な事情でオレンジが取り返したというストーリー。
                               
ところが、この2つには大きな違いがありますよね。
「所有権抹消」なのか「所有権移転」なのか。
抹消:オレンジ→赤がオレンジ→赤  現在の所有者オレンジ
移転:オレンジ→赤、赤→オレンジ  現在の所有者オレンジ

ちなみに抹消の場合、抹消登記が完了したら、どうなると思います?
過去のオレンジの登記が復活するんです。
所有権を移転して、売り終わった権利の識別や権利証は「カラ権」として効力がなくなりますが、一度効力が亡くなった識別や権利証が、いきなり復活します。
(識別や権利証は、その権利関係の名義人であることの証拠となるような書類で、両者は同じ効力を持つものと考えてください。昔は権利証、今は識別情報通知です。)
移転済みのカラ権は、もういらないから処分してくださいと言われることも良くありますが、万が一この後「所有権抹消」があったら、そのカラ権が再び効力を持ちます。
処分してくださいと言われた識別や権利証であっても、しばらく事務所で保管させていただくのは、この為です。

ちなみに、移転の時は売買の登記と同じように、オレンジ→赤が完了すれば赤に識別情報が出ますし、赤→オレンジの登記が完了すればオレンジに新たに識別情報が出ます。

今回のオレンジさんは平成19年10月に売った後、翌年7月に合意解除してます。
今日の決済では、オレンジさんの権利証が必要だったわけですが、一度効力がない「ただの紙」となった権利証が復活した後のものだったので、きちんと保管がされていたのか心配だった訳です。
売って「もう売っちゃったからいらない」と処分する方も沢山いらっしゃいますので。

結論、本日のオレンジさんは、きちんと保管されていらっしゃいました。良かった!


余談ですが、今日の登録免許税は弊所の売り上げの1月以上の金額です。
司法書士が申請する時にお客様の代わりに納めます。

以前、登録免許税が小林個人の全財産を超える金額になったことがあります💦
司法書士が代わりに納めるという制度は、本当に辞めて欲しいものです。
納めるのも大変です。限度額引っ掛かります。印紙で納めると、貼るのも大変です。
意外と、「全財産ってこんなもんか。。。」と思ったり。。
決済の後には、司法書士は地味に印紙貼ってたりします。

「今日の最高の一枚」ただの空っぽのタッパです。なんでわざわざ写真撮ってるの?とお思いでしょうが、作ったものを一日で食べてくれて、空っぽになったタッパというのは、とっても嬉しいものです。私にとっては最高の写真なのです!送料の方が高くついて買った方が安いですが(笑)、作って送るのが生きがい!





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