無戸籍でお困りの方へ

無戸籍の方が餓死したという、なんとも悲しいニュースがありました。
行政がある以上、最低限餓死することはないと思っていましたが、それでもあります。私だったら、、とにかく助けを求めます。でも、そうできない人もいて、そうすればいいのに。と言うこともできません。

良く行く法務局には、「無戸籍でお困りの方へ」というポスターが貼ってあるので、「無戸籍の方って多いのか。。。」と以前から気になっていました。

戸籍がないということは、出生届を出さないということです。
どうして、出せないのでしょうか。

その原因の一つに、前夫との婚姻期間中に別の相手との子供を妊娠した。というケースがあります。

親の婚姻期間中に生まれた子は両親の嫡出子(婚姻関係のある夫婦の間に生まれた子)として戸籍にのります。
たとえ、別の相手との子供であることが事実だとしても、婚姻期間中であれば、その戸籍に入らなくてはいけません。

それを恐れて出産にしても届を出せずにいるということです。

もし、実の父親が配偶者ではないとしたら、「婚姻してますが、夫婦の子は配偶者の子ではありません(民法では「推定の及ばない嫡出子」といいます)」ということになります。

この場合に配偶者である夫がその子の父親でないことを確認してもらう為には「親子関係不存在確認の訴え」をします。もしくは、新しい父が「認知の訴え」をする。(訴えを起こす前にまずは調停という形で申し立てをします)
親子関係不存在確認調停と認知調停の申立てはいずれも利用することができ,どちらかの手続を先にしなければならないということはありませんので,親子関係不存在確認の手続を経ずに認知調停の申立てをすることができます。 

こんな調停や判決の調書をもって戸籍に登録することになります。

ちなみに、円満な夫婦の間に生まれた嫡出子と、事実上離婚状態にあった夫婦の間に生まれた嫡出子は、父とされる配偶者がその親子関係を否定する場合の裁判が違います。前者は「嫡出否認の訴え」後者は「親子関係不存在確認の訴え」です。
前者の方は訴えられる期間が子の出生を知った時から1年と決まっています。
後者は期間の定めがありませんので、訴えやすいです。

当たり前ですが、本来であれば前夫とは離婚してからにすればいい訳ですが、離婚が成立していない場合、離婚協議の際は有責配偶者となることは避けられません。

法律では、複雑な関係にある方々のお手続きは以上のようになります。
いろいろ大変だと思いますが、お子様の為にも戸籍を取得する努力をしましょう。法務局は登記だけでなく、無戸籍のご相談も受け付けております。

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