農地法の効力要件について

土地の謄本には「地目」といってそれが何の用途で使われているのか記載があります。「宅地」「雑種地」「山林」。。。ここが「田」「畑」「牧場」のものを当事者の決定により移転する際には、それ以外の移転とは違う書類が必要になります。それが「農地法の許可証」です。行政が許可を出し、管理しているのです。(当事者の決定によりと書いたのは、「相続」や「持分放棄」など、死亡により当然に起こるもの、一方的意思表示によるものなどには不要です。)

大事なポイントは、この「許可」が所有権移転の「効力発生要件」とされている点です。当事者同士で、契約が成立していても、許可がおりていなければ、この時点ではまだ「権利移転」は生じていない。許可は効力を発生させるための要件になっているということです。

売買契約:令和5年2月1日
農地法の許可:令和5年2月14日(申請したのはそれより前で、許可書がこの日の到達した)
この場合、登記申請の際の原因日付は「令和5年2月14日売買」となります。

結婚は、最悪親の許可がなくても、当事者がしたければできますよね。農地法はそうでない訳です。

法律行為を行う際、どういう要件をクリアして、結果どういう効果が発生するのか。皆様無意識で行っていることでも、司法書士はそのことを意識します。なぜなら登記申請する際「年月日贈与」とか「年月日財産分与」とかその効果が発生した日を登記するからです。その法律効果が発生するために、いくつか要件をクリアする必要があるのなら、全てがクリアされた日に効力が発生します。

登記申請の際は法律効果が発生した要件を確認し、「登記原因証明情報」に、漏れなく要件を事実として記載します!

対象となる不動産は、明らかに「ザ農業!!」というような土地ばかりではありません。中には随分前に農地で、現在はとっくに農業やめて空き地になっているような住宅地であったとしても、登記が農地のままなら、「農地」なんです。実体が農地かどうかより、「登記」がどうか。中には「現在の利用状況」と「登記」が全く違う用途である土地もありますので、注意してくださいね!

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