公正証書を作成する際、ご依頼いただければ事前の公証人とのやりとりは全て私達士業がやります。
お客様には最初のヒアリングと、最後の公証人の先生との10分程度の内容の確認をお願いしております。この際公証人の先生が何を確認するかというと、当然ですが、遺言がご本人の意思に基づいて作成されたものか確認する訳です。
当然、完全認知症の方は作成できません。ただし、認知症であっても、波があり、調子いいと理解できる方や、難しい法律行為は理解できなくても、財産を渡したい相手は、分かる。といった方でも作成は可能です。
「遺言を作成するための能力」と「その他法律行為をするために必要な能力」は求められるレベルが違います。遺言は、その程度が一般の法律行為より低いと考えていただいて良いと思います。
実際、証人として立会をしていても、少し難しいことは全く分からない方も、「あ、それ。それを子供にあげるつもり」といったやり取りが多く聞かれます。ご本人の意図が分かれば、大体大丈夫です。
この遺言の能力については、民法でも「遺言のための能力」として、他の行為とは別に規定されています。このあたり確認していただくと、何となくご理解いただけると思います。
※961条(遺言能力)15歳に達した者は、遺言をすることができる。
※962条 第5条、9条、13条、17条の規定は、(←制限行為能力(未成年とか保佐人など)の規定です)遺言については適用しない。
※973条 成年後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会が必要。→事理弁識能力に問題が無い旨を付記して署名捺印
本人の財産は本人がどうしたいか、その意思がギリギリまで尊重されるんです。
ただし、結構きわどいことは間違いありませんので、のちのち意思能力が問題になりそうな場合には、診断書や動画を残すなどしておくこともあります。また、こんな条文もあります。
※966条 被後見人が後見の終了前に後見人やその配偶者などの利益となる遺言をした場合は、無効
(後見人が本人の直系血族、配偶者又は兄弟姉妹などの場合はOK)
判断能力の低下を利用して後見人が自分に財産を残すようにすることから守ろうとする規定です。
966条や973条は、後見人がいること前提の条文です。通常の法律行為は制限された方ですが、遺言は可能性としてできるということです。
でも、「それは本人の本心ではない!!」といったことで争われる可能性は高くなりますし、何より大変ですから、お元気なうちに残すことが絶対おすすめです。
開業した時、生後半年くらいだった末っ子が、4才になりました。これで4才、5才、6才の3姉妹。生まれてきてくれたこと、ここまで大きくなってくれたこと。全てのことが、本当に有難すぎます。当時ひたすらしんどいとしか感じなかった、、色んな事が懐かしくてたまらない。